栄西『喫茶養生記』ほか和本・古典籍関係の古書買取いたします

愛書館中川書房では『喫茶養生記鎌倉・寿福寺本』栄西著ほか、和本・古典籍関係の古書を買取りしております。

書名：喫茶養生記鎌倉・寿福寺本
著者：栄西鎌倉同人会編
出版社：かまくら春秋社
発行年：昭和54年（1979）発行
備考：和本（古典籍）の復刻版限定880部解説書付

『喫茶養生記』とは鎌倉時代前期にあたる建保2年（1214）に禅僧の明菴栄西によって記された茶道書です。栄西は日本に正式に臨済宗を伝えた開祖であり、京都府京都市東山区にある臨済宗建仁寺派大本山である建仁寺の開山でもあります。永治元年（1141年）に吉備津神社の権禰宜の子として生まれた栄西は、14歳のときに比叡山延暦寺で出家して僧侶になります。以後は比叡山延暦寺ほか天台宗の寺院でその教学と密教についてを学んでいきます。そして形骸化により貴族政争の道具と堕落してしまった日本の天台宗を立て直すべく、平家からの庇護と期待を得て南宋に留学、当時南宋で繁栄していた禅宗に触れたことで日本仏教の立て直しのために禅を用いることを決心し帰国します。そして再度入宋した際には臨済宗黄龍派の虚庵懐敞からお墨付きをもらい、帰国後はのちに島津氏の菩提寺となる鎮国山感応寺という禅宗寺院を建立します。しかし禅宗が盛んになると天台宗からの排斥を受けてしまい、京都での布教に限界を感じた栄西は幕府のある鎌倉へ下向し、北条政子の援助によって建立された寿福寺（現在、神奈川県鎌倉市にある臨済宗建長寺派の寺院）の住職として招かれます。その後は鎌倉幕府2代将軍である源頼家の援助を受けて京都に建仁寺を建立し、以後は幕府や朝廷の庇護を受けながら禅宗の振興に努めました。

栄西は2度目の宋からの帰国（建久2年〈1191〉）の際に宋で入手した茶の種や苗木を持ち帰りました。もともと日本に茶が伝わったのは805年に唐から帰国した最澄によるものと一般的に考えられており、嵯峨天皇や平安朝の貴族たちも茶を飲んでいたことが『凌雲集』ほかいくつかの漢詩から知ることができます。しかし延喜7年（907）に唐が滅亡し遣唐使の派遣が廃止されたことで唐風の文化が衰えると茶を飲む習慣もなくなっていきました。栄西は宋において抹茶の飲み方を会得して持ち帰った種や苗木の栽培を行い、栽培を普及させることで当初は薬として飲まれることが多かった茶を嗜好品として再び飲まれるようにしました。今までは日本の貴族だけにあった茶を飲む習慣を武士や庶民に広げるきっかけを作ったのも栄西であると伝えられています。以後は貴族の間で闘茶が行われたほか、日本茶道の祖である鎌倉時代の臨済宗の僧・南浦紹明によって茶会の作法や茶道具が伝わり、次第に茶の湯へと発展していきました。

臨済宗の僧・栄西が残した本は臨済宗や茶道の関係者から需要があります

『喫茶養生記』の序文において栄西は、養生の基本は肝・心・脾・肺・腎の五臓が互いに健全に維持されることであり、その維持のためには養生の仙薬であり長寿のための妙薬である茶を飲むべきであると説いています。そして茶の種類や茶葉の形、効能、茶葉の栽培方法、抹茶の製法、飲水（現在の糖尿病）・中風・不食・瘡・脚気に対する喫茶の有効性、桑の飲み方・効能などについて記しています。栄西が鎌倉下向の際に将軍源実朝に献上した建保2年（1214）が成立年と考えられており、日本における最古の茶道書となります。『喫茶養生記鎌倉・寿福寺本』は栄西が北条政子によって招かれた鎌倉の寿福寺に伝わる重要文化財『喫茶養生記』の和本（古典籍）の復刻版（複製）です。大正4年（1915）に陸奥広吉・黒田清輝・荒川巳次ほか鎌倉在住の人々によって設立され、鎌倉の文化を発展向上させる活動を続けている団体「鎌倉同人会」が解説など編集を手掛けています。

『喫茶養生記鎌倉・寿福寺本』本文

臨済宗や茶道に関する和本・古典籍ほか古書の買取強化中！

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