天狗と修験者ほか、宗教関係の古本買取いたします。

愛書館中川書房では『天狗と修験者』など、宗教関係の古本を買取りしております。

書名：天狗と修験者山岳信仰とその周辺
著者：宮本袈裟雄
出版社：人文書院
発行年：平成5年（1993）発行

天狗は日本で古くから妖怪・神と考えられてきた伝説上の生き物であり、鬼や河童と合わせて日本三大妖怪ともいわれます。現在一般的に知られている天狗の姿、つまり修験道の行者である山伏の姿をしており、顔は赤く鼻は高く、一本歯の高下駄を履き、背中には翼が生え、羽団扇を持って自在に空を飛び悪巧みをする神通力を持った存在としての天狗は、天狗の存在が中国から伝わり山岳信仰と相まった奈良時代より後、中世以降に出来上がりました。天狗の姿の固定化に一役買ったのが京都鞍馬寺に狩野元信作（狩野派2代目）と伝わる「鞍馬大僧正坊図」（室町時代作）ともいわれています。
天狗には、鳥類系の特徴を多く残した「烏天狗」または「木の葉天狗」、他よりも高い鼻を持つ「鼻高天狗」、尼がなった「女天狗」のほか、狼の姿をした「狗賓」などがいます。なかでも強力な神通力を持つと考えられる天狗を大天狗といい、妖怪もしくは神として善悪の両面を持つ存在です。大天狗が持つ羽団扇は持っているだけでも妖魔退散の力がありますが、飛行・縮地・分身・変身・風雨・火炎・折伏なども羽団扇1つで行うことができます。そのため昔の人々は天狗の棲家である山地を異界として畏怖し、そこで起きる怪異な現象を天狗の仕業と考えました。とくに天狗が起こす火災や騒乱は脅威とされ、中世には鬼やその他の妖怪よりもはるかに恐ろしい存在として恐れられ、天狗道に堕ちたことで不老不死である天狗は時に国家を揺るがし、神仏の力をもってしても手の付けようのない大妖怪とされます。しかしその一方、天狗が神として考えられるのも中世以降であり、愛宕山太郎坊・比良山次郎坊・飯綱三郎・鞍馬山僧正坊・大山伯耆坊・彦山豊前坊・大峰山前鬼坊・白峰相模坊・比叡山法性坊・厳島三鬼坊などの大天狗や天狗の集団が神として信仰の対象になっています。祀られている天狗の中には神仙以上の扱いを受けるものもあり、天狗であることをあまり認知されず神仏として崇められている者もいます。

『天狗と修験者山岳信仰とその周辺』は民俗学者である宮本袈裟雄が執筆した研究書であり、「修験道の展開」「天狗伝承」「山と修行者」「修験と民間信仰」「恐山信仰と下北の他界観」などについて語られています。天狗と山岳信仰が結びついたのは、飛鳥時代の呪術者であり修験道の開祖である役小角の存在によるものが大きく、呪験を得たのちは山を住処として行者をしていた役小角は、木の実を食し木の葉を行衣として山々を巡りました。時には神を使役し、時には鬼を従えて雲に乗ったとも伝わっています。そんな役小角は「石鎚山法起坊」という名で大天狗の一狗として数えられており、「役行者の大天狗とあってはいかなる妖怪・魔怪の類も服せざるを得ないだろう」と、天狗の中でも別格の存在とされています。それもあり大天狗とは、優れた力を持った仏僧や修験者などが死後になる存在と考えられました。
天狗は霊峰とされる山々には必ずいると考えられており、過酷な苦行を行うことで超人間的な験力をたくわえて衆生の救済を目指す山伏（修験者）も霊山を修行の場としたことから、山から下りてきた山伏（修験者）の異様な姿を天狗であると人々が認識したとも考えられています。山伏を中心とする天狗の信仰は民間の仏教と古代から続く山の神秘観山岳信仰に結びついたものであり、天狗に関する豊富な伝説は山岳信仰の深さを物語っています。

天狗に関する研究書は、民俗学や民間信仰に興味をもつ方から人気です

書名：天狗の研究
著者名：知切光歳
出版社：大陸書房
発行年：昭和50年（1975）発行

『天狗の研究』は鬼や仙人など怪異の研究を行っている知切光歳の著作です。浄土庚申山・吾妻郡六合・吾妻郡六合など各地に残る天狗伝説の痕跡を丁寧に辿った「天狗の棲む山」、『今昔物語集』『太平記』『天狗経』などの古典作品に記された姿を追った「天狗の変身の歴史」、新井白石『鬼神論』や荻生徂徠『天狗説』ほか平田篤胤の幽界説など近世（江戸時代）の学者たちの研究から探る「天狗の正体」「諸家の天狗研究」、天狗番付をおこなった「日本天狗総覧」などが収められています。知切光歳は天狗を研究するにあたって避けては通れない人物と評されており、『天狗の研究』のほか『天狗考上巻』（下巻未刊）と『図聚天狗列伝全2冊』を執筆しています。

天狗や修験道ほか民間信仰や民俗学に関する古本の買取強化中！

愛書館中川書房では『天狗草紙』『天狗芸術論』『白石先生鬼神論』など天狗や山伏（修験者）が登場する和本・古典籍やその復刻版、『図聚天狗列伝全2冊』『修験道組織の研究』『天皇と山伏』『山伏神楽・番樂』『熊野三山の史的研究』『蔵王大権現及王神史』『冨士講の歴史江戸庶民の山岳信仰』などの研究書・専門書ほか、天狗・修験道・山岳信仰に関する古本の出張買取を承っております。そのほか『暁斎百鬼画談』『河童百図』『庚申信仰の研究』など天狗以外の民間信仰や妖怪、民俗学に関する古本も買取りしておりますので、お手元に気になる本がありましたらお気軽にご相談ください。
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カテゴリ：取扱書籍 > 神道・仏教・キリスト教など宗教