紀州雑賀衆鈴木一族ほか戦国史・歴史関係の古書買取いたします。

愛書館中川書房では『紀州雑賀衆鈴木一族』など日本の戦国史ほか歴史に関する古書を買取りしております。

書名：紀州雑賀衆鈴木一族
著者：鈴木真哉
出版社：新人物往来社
発行年：昭和59年（1984）

雑賀衆とは中世の日本に存在した地侍・傭兵集団のひとつです。応仁の乱（1467-1477）の後、紀伊国と河内国の守護大名である畠山氏の要請に応じ近畿地方の各地を転戦、傭兵的な集団として成長していきました。海運や貿易にも携わっており、水軍も擁していたと考えられています。
16世紀に鉄砲の製造法が伝来すると雑賀衆もいち早く鉄砲を取り入れました。戦国時代における雑賀衆は「味方にすれば必ず勝ち、敵にすれば必ず負ける」と言われるほどの最強の鉄砲傭兵集団であり、その背景には、紀伊半島に多くの鉱石や木材を得ることができた山々があったことで鍛冶技術が発達し、海運に適した土地であり漁業や貿易業が盛んに行われていたために日本では取れない火薬の材料「硝石」を外国との貿易によって入手しやすかったことがあります。そうして鉄砲の量産に成功した雑賀衆は、優れた射手を養成して鉄砲を有効的に用いた戦術を考案、鉄砲の名手が揃った戦争請負の傭兵集団として各地の大名家から頻繁に援軍を依頼されるようになり、戦国の世にその名を轟かせていきます。

戦国の歴史や鉄砲に関する古書は研究者から需要があります

雑賀党鈴木氏は雑賀衆の頭目的な存在の一族です。元亀元年（1570）織田信長が一向宗の総本山である石山本願寺と開戦して石山戦争が起こると、浄土真宗の門徒であった鈴木孫一率いる鈴木氏は本願寺の門主である顕如からの援助要請に応じ、ほかの雑賀衆の集団とともに本願寺方の主力として織田軍と戦いました。しかし天正5年（1577）に雑賀衆の中でも本願寺へ非協力的であった一部の雑賀衆と兵僧集団である根来衆が織田信長へと味方し、織田軍は雑賀衆の本拠地である紀伊雑賀へ侵攻、本拠地を占領された鈴木氏は織田氏への服属を誓い降伏します。ですが翌年には服属を反故にして再び本願寺に荷担し、天正8年（1580）に顕如が抗戦を断念し雑賀の鷺森に移ると、鈴木氏も織田氏に服属の意を示しました。以後は織田氏に服属しようとする鈴木氏と、それに反対する反織田派との間で争いが起こったことで鈴木孫一は天正10年（1582）に土橋氏の当主を殺害、雑賀衆の主導権を握ります。
しかし同年に本能寺の変が起こったことで織田信長という後ろ盾を失った鈴木孫一は雑賀を逃亡、羽柴秀吉（豊臣秀吉）を頼ります。そして鈴木孫一ほか数名の鈴木氏は天正12年（1584）の小牧・長久手の戦いから、慶長3年（1598）の秀吉の死によって終結した文禄・慶長の役にいたる秀吉の一連の戦役に鉄砲頭として参加しました。
一方、旧反織田派である土橋氏によって主導されていた雑賀衆は中央集権化を進めて土豪の在地支配を解体しようとする羽柴秀吉の動きに反発し、根来寺と協力関係を結んで秀吉の背後を脅かしていました。寺社勢力や惣国一揆を脅威と見なしていた羽柴秀吉は天正13年（1585）に雑賀衆を滅ぼし、以後彼らは各地へと散らばって鉄砲の技術をもって大名に仕えることになります。

その後の鈴木孫一の血族は関ヶ原の戦いの前哨戦である慶長5年（1600）の伏見城の攻略戦において石田三成方として参戦、伏見城将を討ち取る戦功を挙げています。敗戦後は所領を没収されて流浪したものの慶長11年（1606）には徳川家康に召抱えられ、家康の末子である徳川頼房とともに水戸藩へ移りました。鈴木家は水戸藩の重臣となり、のちに名字を雑賀と改め、代々の当主は孫市を通称としています。

『紀州雑賀衆鈴木一族』の著者である鈴木真哉は雑賀党鈴木氏の末裔であり、戦国時代の合戦に関する研究を行う歴史研究家です。織田信長・豊臣秀吉・徳川家康を英雄視することに疑問を投げかけ、死傷者の内訳から武士たちが白兵戦ではなく遠戦の傾向であったことの提唱など、既存の歴史観・合戦観を打ち破ることに力を入れています。

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カテゴリ：取扱書籍 > 歴史・戦争・江戸東京など