松島図誌和本・浮世絵など古典籍類の古本買取いたします。

愛書館中川書房では『松島図誌』ほか、各地方の図誌や名所図会などの揃いものの和本や浮世絵といった古典籍の古本の買取りを承っております。

書名：松島図誌
著者：桜田虎門（鼓缶子）、東沢画
出版社：裳華房
発行年：明治21年（1888）発行

『松島図誌』は文政4年（1821）に仙台藩の儒学者である桜田虎門（通称：櫻田周輔）によって執筆・刊行された「松島」の地誌（郷土誌）です。松島とは宮城県の太平洋沿岸部に広がる松島湾の内外にある諸島と松島丘陵のことを指し、現在は大小260ほどの島がある多島海です。清少納言の『枕草子』193段には名島の1つとして塩竈市の「籬島」の名前が挙げられ、小倉百人一首には霊場の島として松島町の「雄島」が詠まれるなど、松島一帯は古くから名所として有名でした。江戸時代前期の儒学者である林春斎が寛永20年（1643）に執筆した『日本国事跡考』において「松島、此島之外有小島若干、殆如盆池月波之景、境致之佳、与丹後天橋立・安芸厳島為三処奇観」と書き記したことを発端に、京都府宮津市の天橋立、広島県廿日市市の宮島（厳島）とともに「日本三景」として現代まで伝わっています。
松島の観光名所としては、仙台藩の初代藩主であった伊達政宗によって再興され、彼の隠し砦という説もある松島青龍山瑞巌円福禅寺瑞巌寺（通称：瑞巌寺、松島寺）、同じく政宗が再建した五大堂、政宗の孫にあたる伊達光宗の菩提寺である円通院、伊達家の迎賓館である観瀾亭などがあります。松島湾の北側は暗礁が多いこともあり、江戸時代には伊達政宗によって「軍港」として伊達家直轄の軍事施設が多数建築されるなど、伊達家ゆかりの地がたくさんあります。
松島というと松尾芭蕉が詠んだと広まっている「松島やああ松島や松島や」が有名ですが、作家である司馬遼太郎などから後世の創作であるとする説が提唱されており、現在は作者不明とするのが一般的です。ただ「松島やああ松島や松島や」のもとになったと考えられている句は存在しており、狂歌師の田原坊によって詠まれた「松嶋やさてまつしまや松嶋や」については『松島図誌』にも記されています。松尾芭蕉のほか松島を訪れた人は数多く、夏目漱石や正岡子規、宮沢賢治、太宰治といった日本の文学者のほか、中国の小説家である魯迅（周樹人）、相対性理論などで有名な理論物理学者のアルベルト・アインシュタインといった外国人も訪れています。

各地方の図誌や名所図会などの揃いものは研究者の方から需要があります

『松島図誌』の著者である桜田虎門は安永3年（1774）に仙台藩士の子として生まれ、仙台で志村東嶼、寛政3年（1791）からは江戸で服部栗斎といった儒学者に師事しました。文化4年（1807）には仙台藩儒官となり、江戸藩邸内に学舎「順造館」を創立します。仙台に戻ったのちは藩校「養賢堂」で指南役をつとめますが、学頭である大槻平泉と対立したことで文化9年（1812）に職を辞しました。儒学だけでなく兵法・本草・天文・暦術などに通じていた博学な人物であり、天保10年（1839）に66歳で亡くなるまでに『近思録摘説』『日本史略』『推命書』『五行易指南』などを執筆しました。

桜田虎門が『松島図誌』を執筆したのは藩校での職を辞したのちの文政3年（1820）です。明治21年（1888）に再版され、写真は再版されたものとなります。
『松島図誌』には松島の歴史・地理、「長老坂」「西行もどし松」「山王社」「瑞巌寺」「松島明神」「八幡祠」といった名所旧跡の由来、数ある島の名前、松島を題材として詠まれた和歌、特産品などが記載されています。特に伊達政宗ゆかりの「瑞巌寺」に関しては由来の諸説、所蔵されている宝物、境内の植物や岩窟などについて詳細に記されており、伊達政宗や伊達家ほか歴史上の人物が松島にどのようにかかわってきたのかについて知ることができる1冊です。

『松島図誌』挿絵

和本・浮世絵など古典籍の買取強化中！

愛書館中川書房では和本・浮世絵・掛け軸など、古典籍類の専門書・古本・古書の出張買取をお受けしております。以前には『江戸名所図会全20冊』『紀伊国名所図会全23冊』『東蝦夷夜話全3冊』『利根川図志全6冊』『芸州厳島図会全10冊』など和本・古典籍の出張買取をさせていただきました。
また、『日本図誌大系全12冊』『近世文学資料類従古板地誌編全22冊』『九州史料叢書全41冊』など地誌・郷土史に関する全集や専門書の買取りもいたしておりますので、お手元に気になる本がありましたらお気軽にご相談ください。
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カテゴリ：取扱書籍 > 全集・古典籍系など