竹久夢二全集初版本復刻ほか、美術関係全集など古書買取いたします

愛書館中川書房では、『竹久夢二全集初版本復刻』などの美術関係の全集の古書を買取りしております。

書名：竹久夢二全集初版本復刻全58冊揃い
出版社：ほるぷ出版
発行年：昭和60年（1985）発行

「夢二式美人」と呼ばれる抒情的な美人画を数多く残した画家・詩人の竹久夢二（本名・竹久茂次郎）は明治17年、岡山県に生まれました。早稲田実業学校在学中からコマ絵や短文を新聞や雑誌などへ投稿し、読売新聞日曜文壇に投書した『可愛いお友達』が初めての活字に、平民社発行の消費組合直行団の機関紙『直言』に掲載されたコマ絵が初めて印刷された夢二の絵だと言われています。初めて「夢二」の名で『中学世界』に応募したコマ絵『筒井筒』は第一賞入選となり、その後は東京日日新聞に掲載の場を持つこととなります。以後、童話雑誌『少年文庫』の装幀・口絵などを担当し画家として活躍していきます。

一世を風靡した竹久夢二の作品は現在も愛好家から親しまれています

雑誌などに発表し大衆の心をとらえた「夢二式美人」と呼ばれた美人画ですが、夢二の描く女性の特徴として長いまつげと伏し目がちで憂いのある大きな目、線の細いすらりとした手足にしなやかな身体などが挙げられます。着物を少し着崩しゆるやかなＳ字のラインでしなやかに描かれており、何かにもたれかかる姿や後ろ姿といったポーズに女性の美しさを見出した夢二の美人画は男性だけでなく多くの女性をも魅了し、夢二の絵が表紙の婦人向けファッション雑誌は飛ぶように売れたと言われています。
また夢二は児童雑誌や詩文の挿絵も描いており、絵画だけでなく詩・歌謡・童話なども創作、『宵待草』にはヴァイオリン奏者・多忠亮が曲をつけ大衆歌として一世を風靡し全国的な愛唱曲となりました。さらに生活と結びついた美術を目指していた夢二は千代紙や絵封筒、広告宣伝物・日用雑貨などの図案も手がけており、現在のグラフィックデザイナーの先駆者とも言えるかもしれません。
また、「大正の浮世絵師」とも呼ばれた夢二は大正ロマンを代表する画家としても有名です。大正ロマンとは大正時代の雰囲気や新しい時代への理想に満ちた風潮などを伝える思潮や文化事象のことを指します。19世紀頃のヨーロッパで展開した精神運動「ロマン主義」の影響を受けたとされています。夢二の他にも画家の高畠華宵、童謡界の三大詩人と言われる野口雨情・北原白秋・西條八十、芥川龍之介・室生犀星・志賀直哉・谷崎潤一郎といった小説家など、明治から昭和にかけて活躍した人々が大正ロマンを代表する人物として挙げられ、この時代を彩る多くの芸術作品や新思潮が生み出されました。
絵画『黒船屋』『長崎十二景』『女十題』、木版画『花火』『秋のしらべ』『雪の風』、絵本・挿絵『どんたく絵本』『子供の国』『青い船』、童謡集『春』『くさのみ』『歌時計』小唄集・詩集『青い小径』『夢のふるさと』など夢二の作品は油彩画・水彩画から絵葉書、童謡や小唄まで幅広く挙げられます。近年のモダンアートの風潮の中で、若手デザイナーらによって夢二の作品をモチーフに様々なデザイン展開がされたりと、今もなお多くの人に親しまれ愛され続けています。
文章・挿絵を自ら描き、さらには装幀造本までを行った夢二の自著は『露地の細道』の後版で装幀を新たにした『露地のほそみち』、1冊本の『夢二ヱデホン』がテーマ別の4冊に改編された『夢二畫手本1～4』のほか、共著に『都會スケッチ』『抒情カット圖案集』などがあり、それぞれに独立番号を付けていくと延べで57点となります。この57点を対象としたものが『竹久夢二全集初版本復刻全58冊』です。初版当時の本の大きさ・紙質・装丁などが忠実に再現されており、第1期全29冊＋解説1冊、第2期全28冊に分けて刊行されました。

竹久夢二ほか美術関係の古書を買取り強化中！

愛書館中川書房では『露地のほそみち』『夢二抒情画選集上下巻』『夢二小品版画集』『繪入小唄集三味線草』『たそやあんど』『夢二画集』といった竹久夢二に関する作品や画集などの古書の出張買取をさせていただいております。また『畦地梅太郎作品集全14冊』『名作挿画全集全12冊』『横山大観全5冊』『浮世絵派画集全5冊』『日本屏風絵集成全18冊』といった美術全集の古書出張買取も承っておりますので、お手元に気になる本がございましたらお気軽にご相談ください。
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カテゴリ：取扱書籍 > 全集・古典籍系など