香水賛歌魅惑の薫り他ファッション・デザイン関係の古本買取致します香水賛歌魅惑の薫り他ファッション・デザイン関係の古本買取致します

愛書館中川書房では、『香水賛歌～魅惑の薫り～』ほかファッション、デザインに関する古本を買取りしております。

書名：香水賛歌～魅惑の薫り～
著者：フランス香水委員会監修
出版社：朝日新聞社
発行年：平成6年（1994）発行

　香水・ファッションに関する本は業界関係者や研究者に需要があります。

香水の歴史のはじまりは紀元前3000年ごろにさかのぼると言われています。もともとは、古代エジプトで宗教の儀式やミイラの殺菌・防腐などの用途で使用されていました。一般的に、香料をアルコールに溶かした液体状のものを「香水」と言いますが、当時はまだアルコールが発見されていない時代ですので、香りのよい植物（イリス、白檀、肉桂など）の油や樹脂から生成された香料・香油が用いられていました。香料は、食品や薬品としても使われるようになります。

当時のエジプトでは、ミント、松脂、ワイン、シナモンほか16種類の香料を調合した「キフィ」と呼ばれる香水が作られていました。世界三大美女の１人とされるクレオパトラは専用の香水工場を持っており、バラや、当時のエジプトでは手に入りにくかったムスクなど動物性の香料を輸入して香水を作らせていたと言われています。

古代ギリシャでは「医学の父」と呼ばれているヒポクラテスが、芳香物質には病気の治癒効果があることを記しています。ペストなどの感染症の防止にも用いられたそうです。この頃から、貴族の間で入浴後に香料を身体に塗る習慣が広まりました。香料の貿易も盛んになり、交易ルートは中国などのアジア地域、インドなどにも拡大しました。また、香油を入れるガラス瓶も多く生産され、工芸技術も発展しました。

10世紀になると、いよいよ香水が誕生します。イスラムを代表する科学者・イブン・シーナが開発した「水蒸気蒸留法」という手法によって、アルコールの精製が可能になりました。イブン・シーナはバラを蒸留したローズ・ウォーター、ローズ・オイルを製造し、その後の香水文化の発展に大きく貢献しました。こうしてイスラムで生まれた香水の精製技術は、11世紀末の十字軍の遠征によってヨーロッパにもたらされます。また、ベニスの商人たちの手により香辛料・香料が広く取引されるようになりました。

16世紀になると、フランス、イタリアをはじめヨーロッパでも香水が盛んに作られるようになります。ルネサンス期のイタリア・フィレンツェで台頭したメディチ家の娘カトリーヌ・ド・メディチが、フランスのアンリ二世と結婚した際に香水文化をフランスに広めたと言われています。現在でも香水のメッカとして知られる南仏グラースは、もともと革製品の防臭用にエッセンシャル・オイルを生産していたことから、すぐに香水産業が根付いていきました。温暖な気候とアルプスの豊かな自然に恵まれたグラースは、ローズ、ジャスミン、ローズマリー、ラベンダーなど豊富な香料植物が栽培されます。

17世紀ルイ王朝時代には、貴族たちの間で香水が流行しました。ヴェルサイユ宮殿を作ったルイ14世も、香水好きとして有名です。入浴をしない習慣であったため、体臭を隠すために香水が多用されるようになったと言われています。特にフランスの老舗メーカーであるウビガン社の香水が人気で、ナポレオンは柑橘系のオーデコロンを愛用し、マリー・アントワネットはハーブの香水を好んだそうです。

やがて科学技術の発展により合成香料が発明されると、香水は一般市民の生活にも浸透していくようになります。19世紀末アールヌーヴォー・アールデコの時代には各地で香水商が活躍し、美しい香水瓶の需要が高まりました。同時代を代表するガラス工芸家ルネ・ラリックは、フランスの香水商フランソワ・コティの注文を受け、デザイン性の高い香水瓶を多数製作しました。ルネ・ラリックの繊細なガラス細工が施された香水瓶は、フランスの香水業界・ファッション業界に大きな影響を与えました。

20世紀にはファッションデザイナーのココ・シャネルが「シャネルのNo.5」を発表し、合成香料による香水産業が全盛期を迎えます。広告産業の振興はファッション業界にも及び、香水は民衆の化粧品として親しまれるようになりました。

フランス香水委員会監修による『香水賛歌～魅惑の薫り～』は、古代から近代・現代にかけての香水の歴史、香水に関する基礎知識、香水瓶やファッションとの関係、香水にまつわる文学、臭覚のメカニズムなど、香水の魅力を堪能できる一冊です。

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