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写本『華岡家伝方集』(華岡青洲・門人編)ほか医学書の和本(古典籍)を出張買取いたします

愛書館中川書房では、江戸時代に書写された華岡青洲とその門人の医学書『華岡家伝方集 全12冊』ほか写本や版本といった和本(和綴じ本)などの古典籍を買取りしております。

華岡家伝方集 (1)
書名:華岡家伝方集 全12冊
著者:華岡青洲・門人編纂 嶋田輔世写
発行年:文政11年(1828)写

◆収録タイトル
第1冊「辨乳岩証并治法草稿」
第2冊「乳巌準并附録」「疔瘡弁名」「脚気翼」「痢疾瑣言」
第3冊「瘍科鎖言」
第4冊「瘍科鎖言」
第5冊「瘍科方筌」
第6冊「撮要方」
第7冊「金瘡治要」
第8冊「春林軒法方録并膏薬部」
第9冊「青洲先生経験秘方」
第10冊「春林軒丸散方」
第11冊「青洲先生医談」
第12冊「険症百問」

華岡家伝方集 (5) 華岡家伝方集 (4)

『華岡家伝方集 全12冊』と一緒に買取りさせていただいた和本などの古典籍については「石川県より『物類品騭』ほか東洋医学(本草学/漢方)など和本・古典籍を宅配買取」にてご紹介しております。

華岡青洲・吉益東洞・吉益南涯ほか、江戸時代に刊行・書写された医学関係の古典籍(和本)は研究者や漢方医などの専門家から需要があります

『華岡家伝方集 全12冊』は華岡青洲とその門人が編纂した医学書をまとめた写本であり、越後国の荘頭であった嶋田輔世(長民)という人物が農耕や養蚕の合間に書き写しました。全12冊のなかに14の書物が収録されています。

華岡青洲は世界で初めて全身麻酔を用いた手術を成功させた実例を持つことで知られる江戸時代の外科医です。字は「伯行」、諱は「震」、号は「青洲」のほか祖父の代から名乗っている「随賢」もあります。「雲平」とも呼ばれました。
宝暦10年(1760)に紀伊国で医師の長男として生まれた華岡青洲は、天明2年(1782)に京都へ行き、吉益南涯に弟子入りします。日本近代医学中興の祖とされる吉益東洞の子である吉益南涯は漢方医として知られる人物で、「気血水説」を唱えた医者として有名です。吉益南涯のもとで古医方について学んだ華岡青洲は、次に外科医である大和見水に弟子入りします。大和見水はオランダ医学と東洋医学を融合させた伊良子流外科の医者であり、華岡青洲は大和見水のもとで1年ほど外科技術について学びました。
天明5年(1785)に紀伊国へ帰ると父の跡を継いで開業し、京都滞在中に読んだ医師の見聞記『漫遊雑記』に影響を受け麻酔薬の開発に着手しました。動物実験と人体実験を経て全身麻酔薬「通仙散」を完成させ、文化元年(1804)10月13日に全身麻酔下での乳癌の摘出手術を成功させます。なお、最初に麻酔を発明したと伝わる中国後漢末期の医師・華佗が処方した麻酔のことを「麻沸散」というため、花岡青洲が完成させた「通仙散」も「麻沸散」という別称をもちます。
全身麻酔手術を成功させた華岡青洲のもとには、その後たくさんの入門希望者が集まったため、門下生を育成するための医塾「春林軒」が設立されました。通仙散(麻沸散)には曼陀羅華(チョウセンアサガオ)や草烏頭(トリカブト)といった有毒植物が用いられるため、華岡青洲は限られた弟子にのみ調合方法を伝え、また自身の医術について著書を残しませんでした。そのため華岡青洲の医術については、無断で通仙散(麻沸散)の成分や製法を公開したため破門された本間玄調(本間棗軒)の著書や、弟子たちが口授を書き残した書物でのみ知ることができます。

『華岡家伝方集 全12冊』が書写された文政11年(1828)は、華岡青洲が江戸幕府の医官「小普請医師」として武士や町人の病を治療していた時期です。
第1冊に収録されている「辨乳岩証并治法草稿」は華岡青洲の口授を千葉良蔵が書き留めたものに、加納元謹が麻沸散(麻酔薬)に関する記述を加筆した書物であり、9種類の処方が記されています。華岡青洲が全身麻酔手術を成功させた10年後にまとめられました。
華岡家伝方集 (3)
第1冊「麻沸散処方集(仮題)」

そのほか『華岡家伝方集 全12冊』には、疔(悪性の腫れ物)・脚気・痢疾(下痢)・瘍科(外科)・金瘡(刀傷)の治療法、膏薬(外用薬)・丸散(粉末を固めた内服薬)の処方集、華岡青洲の経験談、中川修亭(吉益南涯の弟子)と華岡青洲・吉益南涯の問答集が収められています。
書写した嶋田輔世は識語に「越後国荘頭」とあるように医師として著名な人物ではありません。しかし一緒に買い取りさせていただいた古典籍(和本)には『華岡家伝方集 全12冊』以外にも東洋医学や蘭学関係の写本が多くあり、また秘密主義的であった華岡青洲の生前に書写できる立場であったことから、華岡家もしくは吉益家の弟子と繋がっていた人物と考えられます。

華岡青洲の門人が残した著書はいくつも存在しますが、版本として刊行されているものと写本のみとなっているものがあります。また、内容はほとんど同じだけれど書名が異なるものやその逆もあります。
写本に関してはどの分野においても、書写された時期によって内容に誤りが生じる場合や抜粋・再編されてしまう場合があり、基本的には原本から直接書写したものや原本の成立年から近いうちに書写されたものの方が古典籍としての価値が高くなります。

漢方・鍼灸・本草学・東洋医学・蘭方医学など医学関係の古典籍(和本)を買取強化中!

【買取事例】
解体新書
書名:解体新書 全12冊
著者:杉田玄白
出版社:須原屋市兵衛
発行年:安永3年(1774)

川越正淑『傷寒論脈證式 全8巻』、吉益東洞・村井琴山撰『薬徴 全6巻』、緒方洪庵訳『扶氏経験遺訓 全28巻』、江馬元弘纂訳『和蘭医方纂要 全5巻』など、お手元に気になる本がありましたらお気軽にご相談ください。
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カテゴリ:取扱書籍 > 全集・古典籍系など

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